[最終更新日]2020.04.23

今回は宇宙の終わりです。終わるシナリオは幾つかあるようです。

熱的死

膨張し続けることで熱的死を迎える。

・ブラックホールによる熱的死

ブラックホールによって全ての星が飲み込まれて終わりを迎える。

・ビッククランチ

膨張転じて収縮をはじめ、やがて特異点となり終わりを迎える。

・真空崩壊

現在の真空状態が「偽の真空」であった場合、少しの揺らぎで相転移が発生して世界が崩壊を迎える。

・ビッグリップ

ダークエネルギーによりどんどんと膨張していき、やがて全ての物質は素粒子レベルまで分解されて終わりを迎える。

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最新の情報から宇宙の死に対する5つのシナリオを探ってみます。

・熱的死

銀河内において恒星のほとんどが白色矮星、中性子星、ブラックホールになっていきます。その白色矮星、中性子星、ブラックホールは伴星によって活発に活動しますが、それもやがて静かになっていきます。それにより塵やガスが少なくなり、新しい星が産まれにくくなっていきます。

やがて白色矮星、中性子星、ブラックホールだらけの宇宙が広がり、宇宙が膨張することで熱がどんどんと下がっていき、最終的には宇宙全てが同じ温度になります。

数千兆年後には宇宙はほぼ何も無く温度差がなくなり熱的死を迎えると考えられています。

     

・ブラックホールの熱的死

上記の「熱的死」でも言ったとおりに、宇宙の年齢が上がるほど、新しい星は生まれ辛くなります。

ブラックホールの数が多くなりブラックホール同士の衝突が増えていきます。ブラックホールは衝突すると合体してより大きな状態になっていきます。やがて巨大なブラックホールが全てを飲み込んでしまいます。

全てを飲み込んだブラックホールは、今度はホーキング輻射により質量を失いはじめ、最後には爆発的な輻射で一生を終え、宇宙は何も活動のない世界となり死に至ります。

 

・ビッグクランチ

宇宙が閉じているならば膨張はやがて収縮に転じて、やがて銀河同士が衝突して合体し熱量が上がっています。

最後には超高温の火球となり最終的に特異点となり終わります。

終わりは始まりで再びのビックバンとなって新たな世界が始まると考えられています。

 

・真空崩壊 

最低エネルギー状態を「真の真空」と呼び、そうでないものを「偽の真空」と呼びます。

では私たちがどちらの真空にいるか、それは現状わかりません。

もし仮に「偽の真空」にいた場合どのような不都合があるでしょうか。

量子力学においては最低エネルギーでないときは不安定で、トンネル効果で「偽の真空」に「真の真空」の量子が現れる可能性があります。

それは真の真空への相転移を引き起こすことになります。雪崩のように相転移が進行して世界はあっという間に崩壊します。

 

・ビッグリップ

私たちの宇宙は3つの物質でできているいわれており、通常物質が4%、あとの96%はダークマターとダークエネルギーで占められています。

通常の物質ならば空間が10倍になれは密度は1/10なります。

しかし、ダークエネルギーは空間自体が持つエネルギーなので空間が10倍になればそれは10倍になります。

このダークエネルギーは反重力として働いているので全てのものを引き離そうとします。

従って、やがては銀河の星々を引き剥がしていくでしょう。

重力に打ち勝ったあともその勢いは止まらず、四つの力(重力、強い力、弱い力、電磁気力)全てを凌駕して、物質全てがばらばらになってしまいます。

実際に発生するとしたら、今から1000億年後になると考えられています。

 

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熱力学の第二法則

断熱系においては不可逆変化が生じた場合エントロピーは増大する

 

人類はエントロピーを減少させることで生存しているといえますが、宇宙全体が断熱系としたならばどこかでエントロピーが増大していると考ええることは正しいのでしょうか。

正しいとするならば、知的生命体の出現は宇宙に負担をかけていると言えます。

今の我々のテクノロジーではさほどの負担ではないかもしれませんが、これから宇宙に向かって発展して行くであろう未来は、エネルギー使用はおそらく指数関数的に伸びていくと思われます。「持続可能な社会」というワードは今よりも更に意識する必要があるのかもしれません。

それとも、広い宇宙に出て行くので、逆にエントロピーなんて全く意識しなくなるのでしょうか。